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切れない糸(坂木司)

ひょんなことから、読み始めた覆面作家・坂木司の前作シリーズ。「青空の卵」「子羊の巣」「動物園の鳥」の3部作。

本作はその前作とは違う舞台だけど、前作シリーズにかなり似ています。もちろん舞台も登場人物も違うのですが、小説の構成(連作短編小説で、登場人物が徐々に増えていく)と、主人公と探偵役の関係なども、前作を意識すると類似点もあります。

前シリーズは、外資系の保険会社に勤める坂木司と、その友人でひきこもり探偵の鳥井真一と言う設定だったけど、今度は、クリーニング店の新井和也と、探偵役が商店街にある喫茶店でアルバイトをする同級生・沢田直之です。

自由に動き回れる点が少し違うけど、沢田は料理もうまくて、そんなところも前作の鳥井に似ています。ただ、以前より魅力的なのはクリーニング店という舞台です。なかなか知らなかったクリーニングの話が楽しいです。持ち込まれる衣類からの謎が中心ですが、舞台と魅力的なキャラ、人と人のつながりなど、坂木さんの魅力が発揮されている感じです。

 
ここに描かれているような商店街、なかなか難しい時期に来ていますね。私の地方でも、地方なので公共交通が発達していない分、車社会となっており、郊外への大型ショッピングセンターに活気が流れています。街中の商店街の空洞化と言うのは多かれ少なかれ、どこの地方にもあるのではないでしょうか?案外、東京の商店街の方が元気がよかったりして。。。でも、人と人のつながりと言う点では、同じつながりでも前作が個のつながりから来る家族構成を形成する作品だったのに対して、本作では、商店街の人のつながりであり、このあたり、商店街の本来の姿があるのかもしれないというヒントを与える作品でしょう。「切れない糸」はそんな人のつながりが切れない商店街の意味も含まれているのでしょう。頑張りましょう、地方の商店街(^o^)/

ちなみに、前作は3部作で「卵」「巣」「鳥」って本だったけど、今度はシリーズ化されたら「糸」「布」「服」だろうか?(^^;

★★★★

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コメント

こんばんは、千秋あきです。坂木司著の「切れない糸」をTBさせていただきました。
面白かったですー。ごえもんさんの評価通り、人情物語に満ちていて、思わず涙ぐんでしまったシーンもあったり、心にじーんときました。暖かい、いい話ですね。

坂木司さんの、他の本も読んでみたくなり、本日「青空の卵」を図書館から借りてきました。最近はなるべく節約すべく、図書館を利用です。今から読むのが楽しみです。

投稿: 千秋 | 2005.07.03 00:31

TBありがとうございます。
「切れない糸」を楽しまれて何よりです。

「青空の卵」を借りてこられたのですね。そちらはシリーズ3部作になっています。雰囲気は同じですけど、少し変った探偵役?が登場するのと、作者と同姓同名の登場人物がいます。楽しみにしてくださいね。

投稿: ごえもん | 2005.07.03 07:33

「青空の卵」読了しました。読み終えたとたんにすっきりした気分になれる、面白い本でした。最近はどうも涙もろくなっているようでいけないです(笑)。
「切れない糸」と違って全く違った設定の、全く違ったイメージを持つ本でしたが、これはこれで雰囲気が全く変わらず、良いお話でした。各話で出てきた登場人物がその後も主人公達に語り合い、つながりを保っているのって、良いですね。そう言うところが好きです。

投稿: 千秋 | 2005.07.15 23:48

千秋さん、こんにちは。

涙もろいと言うのは、登場人物もそうでしたよね。なんとなく穏やかな雰囲気の人たちです。

登場人物はどんどん増えてきますが、それは家族構成のようになっていくイメージです。「切れない糸」はそれが商店街の仲間になっていた感じです。

登場人物のつながりといえば、最近話題の伊坂幸太郎さんの作品なども、各本で微妙な繋がりがあるのが楽しいです。

投稿: ごえもん | 2005.07.16 06:21

ようやく、「子羊の巣」を読むことが出来ましたー。前作同様、やはり読んでいたらいつの間にか涙しておりました。涙のつぼをつかれまくりです。
ここまでくると次は最後のシリーズ物。次作で鳥井がどうするのか、また、彼はうまく世間になじむことが出来るようになるのかどうか、そちらの方が気になります。

この本を読んでいるとお腹がすきました。特に特選お土産のお菓子は無理なく手に入れられそうで、余計に美味しそうに思えてしまったり。見るところが違う……(笑)。

投稿: 千秋あき | 2005.10.15 21:36

おお、そう言えばお土産のお菓子の話がよく出ていましたね。不思議な空間でもあるような鳥井の家と言う感じです。

最終作は「動物園の鳥」ですが、初?の長編です。ここまで来たら読まなくっちゃって思っちゃうシリーズモノに弱いタイプの私です(^^;

投稿: ごえもん | 2005.10.16 06:21

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