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震度0(横山秀夫)

「阪神大震災のさなか、700㎞離れたN県警本部の警務課長の不破義人が失踪した。県警の事情に精通し、人望も厚い不破がなぜ姿を消したのか?」そんなキャッチコピーです。横山秀夫さん得意の警察内部が舞台です。そのあたりは、さすがに緊張感ある感じでしたが・・・・

どうも最初の違和感は震源地から700km離れた県警本部と言う点です。700kmといえば、神戸・東京間に匹敵する距離では?あの大惨事だから700kmでもかなり警察として意味があるのかもしれないけど、なんか、阪神大震災を題材に上げることに違和感を感じました。距離が離れすぎて緊張感がないのと(自分たちの保身にやっきになる登場人物のせいかな?)

 
横山氏の作品には「クライマーズハイ」と言うのがあって、そこでは、85年の御巣鷹山の日航機事故を取り上げ、その中で運命を翻弄された地元新聞記者たちの悲喜こもごもを描いていました。このときは事故とそれぞれの立場の状況が緊張感をもって絡められて、実際にあの時は、こんな雰囲気だったのだろうかと、想像したものです。

ところが、今回は、それがすごく希薄です。警察のキャリア組、準キャリア組、ノンキャリアのそれぞれの立場や思惑と言うのは、なるほど、そうかもしれないけど、あまりにドロドロした内容であるために、どうも、登場人物が好きになれません(^^;

個人的には好きじゃないけど気になる人物と言うのは、かつても横山氏の作品もありました(臨場などにもありました)。一緒に仕事をしたら気遣いだなとか思いながらも、筋を通す姿に好感を持てる部分もありましたが、今回は、どうもねえ(^^;

章立てでなく、シーン切り替えの記述方法も映像的なのかもしれないけど、この作品にはそのような必要性はないと思うのだけど・・・。長編は苦手なのかな(^^;・・と言うことで、横山秀夫氏の今までの作品からすると、期待倒れが大きいかも。

ところで、85年の日航機事故、95年の阪神大震災、10年おきに事件を取り上げた作品がありますが、今年の大事件は尼崎の事故。JR内部の対応と保身とを鋭くメスを入れてもいいのになあって思ったりします。

★★★☆

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コメント

ごえもんさん、こんにちは。りょーちと申します。
本好きpeopleから辿って参りました。
私も「震度0」を先日読了いたしました。

ごえもんさんの感想を拝読いたしまして、正直、私も同じような印象を受けました。
「クライマーズハイ」も読了しているのですが、本書では「クライマーズハイ」で受けた衝撃とまではいきませんでしたね。
「震度0」というタイトルはキャリア・ノンキャリアの醜い戦いは結局「震度0という殆ど感知できないほどの揺れでしかない」という暗喩なのかなとも感じました。

阪神大震災(と、本書では明言していないのですが・・・)と殆ど関係のない世界で語られたこの小説。大震災のトピックは果たして必要だったのか? 正直よくわかりませんでした。

時間をみて、私も感想をアップしてみたいと思います。
ではでは。

投稿: りょーち | 2005.09.29 20:30

> キャリア・ノンキャリアの醜い戦いは結局「震度0という殆ど感知できないほどの揺れでしかない」という暗喩なのかなとも感じました。

なるほど、その視点はすばらしいですね!!
大震災の震度も0にしか感じないほど自分たちの保身に躍起になっているともいえますね。大震災はあってもよかったのですが、単に失踪した人間がテレビに映ると言うような使い方ではなく、現地に派遣された者が自分の出世欲のために留守中の本署のことが気になると言うような感じがあったらよかったです。

投稿: ごえもん | 2005.09.29 21:08

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» 震度0 [nishimino]
一部の評価が必ずしも良くないというより、総じて不評と言った方が正しい横山秀夫の最新作「震度0」です。 ストーリーは阪神淡路大震災の朝、神戸から遠く離れたある県警の幹部が突然失踪し、県警首脳部が混乱に陥るというという感じです。 キャリアとノンキャリアの幹部の対立など、細かい所の緊迫感はよく出来ているのですが、肝心の全体的なまとまりがいまいちで、結末もあっけない感じがしました。これ以上書くとネタバレになりますが、あれではあまりに救いがなさ過ぎます。 もっとも、あそこまで組織防衛と保身に走った警察幹部が... [続きを読む]

受信: 2005.09.27 22:20

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