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天使のナイフ(薬丸岳)

乱歩賞受賞作をハードカバーで読むのは久しぶりです。この作品はこのミステリーがすごいでも26位くらい、しかし週刊文春のミステリーベスト10では2位でした。

確かにそのランクに恥じないいい作品でした。乱歩賞としては近年にない質の高い作品ではないでしょうか?

テーマは昨今よく話題になることがある少年犯罪・少年法です。これらの問題は、加害者が法律で保護されているのに、被害者はマスコミにさらし者にされると言う理不尽な話があります。さらに、被害者から見たら、加害者の情報が全て隠匿されて、本当にどのように更生されて、どのように贖罪の気持ちを持っているのかって言うことが一番気になるところでしょうか、それすらも分かる事はないのです。

愛するものを失った悲しみはどこにぶつければいいのでしょう。犯罪者を憎む気持ちをどうすればいいのでしょう。そんな気持ちを抱いたままずっと生きていかなければならない、その辛さを思うときに、本当に更生と言う言葉だけで少年法の下で少年の人権を守ることを最優先していいのか?そんな疑問は、なんど「擁護派」の意見を聞いても感情的に湧き上がってきてしまいます。難しい問題ですが、取り返しのつかない犯罪の双方にとって悲しい結末かもしれません。

 
さて、この本自体の話ですが、言いたい事はネタバレになるので一切言えません(^^;。感情移入できるために一気に読めました。それだけ質の高い構成と文章なのでしょう。前半のじわじわと忍び寄る謎と、後半の二転三転の急展開は、面白い構成です。展開の意外性と、その偶然のような関連性は、ちょっと出来すぎですが、それも少年法の下で更生を終えた者でも贖罪はずっと持ち続ける暗示のように思えました。

しかし、1点だけ妻祥子は夫の桧山と結婚するときに、どうしてあのことを打ち明けなかったのか。。。。それが、いつまでも疑問となっています。

★★★★★

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