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2006年8月の記事

福家警部補の挨拶(大倉崇裕)

これは面白かったなあ。現場を検分し鑑識の報告を受けて聞き込みを始める頃には、事件の真相が見えている?!おなじみ刑事コロンボ、古畑任三郎の手法で畳みかける、四編収録のシリーズ第一集。
と言うことで、ぜひとも第二弾も期待したいところです。

作品は短編ですが、コロンボ同様に、まずは殺人のシーンから始まり、次にシーン展開があり、福家警部補の登場となります。このあたりは、古畑任三郎よりもずっとコロンボ的です。しかも、映像的なイメージがすぐに湧くような書き方なので、とても楽しめます。そのままドラマ化を期待したいものです。

福家警部補は、チビで童顔、警察バッチをなかなか見つけられなくて、警察官と見てもらえないのです。よれよれのコートは着ていませんが、黒いコートはよく着ているみたい。さらに、お酒に強く映画にも詳しいし、徹夜でもビクともしない「女性刑事」なのです。ドラマ化すると、はたしてどんな方が担当だろうなあ。

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ひとがた流し(北村薫)

アナウンサーの千波、作家の牧子、元編集者で写真家の妻となった美々は、高校からの幼なじみ。今では40をこえて、牧子と美々は離婚を経験、それぞれ一人娘を持つ身になっています。そんな3人を中心に、それぞれ章をそれぞれの家族がリレーするように書かれた作品です。

それぞれが自分以外に大切に思う人がいて、その気持ちに涙したくなる作品でした。いい人が出てくるのは北村さんの作品らしいですが、その影で我が侭やどうにもならない気持ちをぶつけたりと言う普通の姿もあったということが、また切なさを感じさせてくれました。

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被害者は誰?(貫井徳郎)

今まで読んだ貫井さんの作品とは少し作風が違い、なかなか器用な作家なのかなと言う印象でした。最初に読んだのが追憶のかけらだっらからかも。

この作品は
・被害者は誰?
・目撃者は誰?
・探偵は誰?
・名探偵は誰?
の4作品からなります。単純な?犯人当てでない事は、タイトルからも分かるとおり。

例えば、「被害者は誰?」では、庭に埋められていた白骨死体が見つかりますが、その身元を推理するのに、そこの住人が黙秘を貫く中、警察は押収した手記をもとに、被害者の特定を試みると言う構成になっています。文中に手記や作品が登場するスタイルは、「追憶のかけら」と同じような構成になっていますが、出てくるキャラクタが破天荒でコミカルになっています。そこが一番の違いかな。

「探偵は誰?」のあとに「名探偵は誰?」の作品が来るなんて言うところも憎いところで、まんまとだまされました。トリックは、犯罪トリックと言うよりは、推理小説の構成そのもののトリックで、こうした作品も最近はよく見かけますが、それでもよくだまされます(^^;

★★★☆

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UDON(シネマ1)

Udon実は期待していない映画だったのだけど、試写会があたり見に行きました。往々にしてこういう場合は、楽しめちゃうんです。ちなみに試写会の協賛は「東洋水産」。マルちゃんのうどんを食べなくっちゃ!

映画自体に対しては、前知識もなく、とにかく、「讃岐うどん」の話と言う程度の知識でしたが(最近、讃岐うどんもひと段落かな)、この映画は、900軒のうどん屋がある香川県を舞台に「踊る大捜査線」の本広克行監督×亀山千広プロデューサーの黄金コンビが手がけた人間ドラマと言うことです。

でも、やっぱり「讃岐うどん」の話でした(^^;

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ニヒリズムの宰相小泉純一郎論(御厨貴)

読んだだけでノーコメントです。

★★★☆

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陽気なギャングの日常と襲撃(伊坂幸太郎)

昔からチームを組んで戦う場合には、そのキャラを際立てることが重要でした。例えば、ゴレンジャーなら、その能力は覚えていないにしても、視覚的に分かるように、色で区別していました。赤がリーダーで、青がニヒルなタイプ、ピンクは女性って感じ。

性格的にも、リーダーとひねくれたニヒルなタイプ、女性に、少し太った奴に子供って組み合わせはガッチャマンなんかでも際立って踏襲されています。

しかし、この「陽気なギャング」の4人組に関して言えば、色や体型よりもその能力で際立ったキャラとなっています(サイボーグ009みたい)。嘘発見器、スリ、演説、体内時計の能力を持った4人の話です。これだけで、充分キャラが際立ちますが、前作に続く今回の作は、その間に映画化されて、それを見ちゃったせいもあって、もう視覚的にも印象深い便物になっています。そういう意味では、映画化のときに配役がよかったわけですね。

この作品でも、絶妙な会話は健在だし、スピーディな行動力は映画を見るようで楽しめます(^^)。でも映画化すると、きっと難しいのだろうなあ。配役はいいのだけどね。

伊坂さんの作品では個人的には最も好きな作品。
ただ、前半の短編が意外に面白かっただけに、後半は話の設定自体が少しつまらなかった感じは否めません。外国風の会話のノリは面白いけど、それがないと辛いものがあったかも。でも、戦隊のヒーローものってのはワンパターンが安心でもあるのですが(^^)

★★★★★

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スタンド・バイ・ミー(コレクターズ・エディション)

有名な曲が印象深い、スティーヴン・キングの短編小説を映画化した名作。59年、オレゴン州の小さな町、キャッスルロック。ともに12歳のわんぱく仲間4人が、森の奥で行方不明になった少年を見つけだそうと冒険に出る。しかしこの2日間の冒険は、それぞれ生涯忘れられない思い出となるのだった。

と言う話です。青春を感じる年に見るといいのだろうけど、この夏の自主勉強で見た感じでは、いまいち感じるものが少なかった。期待が大きかったのかも。昔見た「明日に向かって撃て」や「スティング」などを見たらどう感じるだろう。それとも「小さいな恋のメロディ」なども見ても、昔ほど感動することがなくなった。枯れてしまった自分に対して悲しい思いでいっぱいです(^^;

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ミッション:インポッシブル

夏休みの間に見ておきたかったDVDです。この夏にMi3が公開されて、1作目がブライアン・デ・パルマ監督の作品としって、パルマファンとしては是非見ておきたかったのです。と言うことで、この夏の自主学習です。

これはなかなか楽しめる映画になっていますね。3よりもずっといいかも。スパイは、東西冷戦がなくなり窮地に追い込まれたので、映画でももっぱら悪役と戦うよりも身内の裏切りと言うサスペンス要素が強くなってきます。この映画も例外ではないのですが、意外な裏切り者に、「いつ気が付いた」と言われて、主人公のイーサン・ハントは応えるのだけど、映画を見ていると、最初からおかしいと思うシーンが・・・・。
(以下ネタバレです)

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ユナイテッド93(コロナワールド3)

U93いつも行く映画館では上映していないので、郊外の映画館に出かけて見ました。表題の「ユナイテッド93」と言うのは、「9.11」同時多発テロの時にハイジャックされた4機の飛行機のうち1機です。

ハイジャックされた4機とは、、、、

アメリカン航空11便(ボストン発ロサンゼルス行き)
8時14分頃にハイジャックされ、8時46分にニューヨーク世界貿易センターのツインタワー北棟に突入し爆発炎上。当初は小型機がタワーにぶつかる事故と思われて、アメリカン航空11便とは思われなかった。

ユナイテッド航空175便(ボストン発ロサンゼルス行き)
8時43分頃までにハイジャックされ、9時3分に世界貿易センタービルのツインタワー南棟に突入し爆発炎上。こちらの映像は先に11便が追突したあとのために、多くの報道陣と見物人がビルの周りに集まっており、突入の瞬間の映像が世界中に流された。

アメリカン航空77便(ワシントンD.C.・ダレス国際空港発ロサンゼルス行き)
8時50分頃までにハイジャックされ、9時38分に国防総省本庁舎に激突し爆発炎上。

そこで残る1機が「ユナイテッド93」便です。

ユナイテッド航空93便(ニューヨーク発サンフランシスコ行き)は、空港の混雑で40分近く遅れて8時42分の離陸となりました。この遅れが「同時」多発テロとして、少しの時間差を生みました。そのためにこのユナイテッド93便の乗客はハイジャックされた時に、家族などへの連絡から、すでに貿易センタービルへ突っ込んだ航空機のことを知り、自分たちの運命を知ることとなりました。「何もしなければ、他の旅客機のように多くの犠牲者を出す!このままでよいのか!」。愛する者に最後のメッセージを残して、乗客たちは、確かな勇気と団結力に包まれ、行動を開始しました。

このユナイテッド93便に関しては、ペンシルバニア州ピッツバーグ郊外に墜落しましたが、当初から戦闘機による撃墜説や機内で爆発物説などがありました。映画ではそれらの説とは違う内容でした。また犯人たちの目的地も、キャンプ・デービッドかホワイトハウス、あるいは原子力発電所か、不明のままでした。

しかし、この映画はもともと、それらを「解説する」映画でも「仮説」する映画でもなかったのです。あくまでも、そこにあった事実を提示するドキュメンタリーのようでした。犯人たちの宗教的背景も不要だし(そんなことは乗客は分からないまま被害者になったはずだから)、もちろん、細かい作戦の経緯も、乗客乗務員の人生(当日乗り合わせて命を落とした人たちには、語っても語りきれない人生があったはず)すらも、意識的排除して、徹底的に、当日の乗客と同じ立場を突き出すような映画になっています。

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温室デイズ(瀬尾まいこ)

瀬尾さんの最新作。学級崩壊の中学校で、こんなことがいいはずないと自分ながらに戦った2人の少女の話です。各章、交互に2人の視点から描かれています。こうした2人の少女の話は「きみの友だち」(重松清)を思い浮かびます。

瀬尾さんらしい優しい奇跡はあるのですが、瀬尾さんの今までの作品は、どちらかと言うと家族や家庭がテーマでした。血のつながりであったりして、そこに友達などが絡んできます。学校での様々な出来事に辛いことがあっても、自分の価値観で家族と言うものを見る視線がありました。

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スーパーマン リターンズ(テアトル5)

Photo_16先行ロードショウがあると言うことで行ってきました。

開始早々にジョンウイリアムス作曲のスーパーマンのメインテーマが流れると、それだけでワクワク。そんな時代に育った私には、本当に久しぶりの「帰ってきたスーパーマン」です。

かつての「スーパーマン」シリーズは、1作2作とよかったけど、あとの3作目と4作目は記憶にないほどの凡作だったような・・・。そこで、満を持して19年ぶりに復活した本作は、映画の中では5年ぶりにスーパーマンが戻ってきたと言う設定です。実時間では19年ぶりなので、初めてこの作品を見る人でも分かりやすいように丁寧な作りになっているように思います。

永遠の宿敵、レックス・ルーサーは5年間の服役から出獄したと言う設定です。この役には、ケビンスペンシーがやっていますが、これがなかなかはまり役って感じです。コミカルっぽい悪役ぶりは、ジーンハックマンをも上回りそう。スーパーマン役も、定番のクリストファー・リーブから、ブライドン・ラウスになっているけど、雰囲気をうまく受け継いでいるように思えます。ロイス・レイン役は、今までのマーゴット・ギターの方がいかな。

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東京タワー(リリー・フランキー)

たまたま、夏に読む本として、今日の新聞に載っていた説明では、120キロの直球投手のような本とのことでした。なるほど、読み手がぽんぽん打ち返せるようなくせのない球。珍しく、息子が書いた母と息子の話で、想像していたものとは違った内容でした。
本屋さん大賞の本なので読んだけど、過去の本屋さん大賞ほど感情移入できなかったかな。特にこの本では、自叙伝的なので、主人公に感情移入できなければ「オカン」が癌で亡くなろうが涙できないままで終わってしまう。少なくとも「電車の中で読まないで(涙が見られるから)」と言うような心に突き刺さるものがなかったし、感動作品とも思えなかったなあ。同じような筑豊出身の作品では五木寛之の「青春の門」の方がはるかに敏感に訴えたものがあったけど、これは時代背景や自分自身の年齢も関係しているのだろう。

★★★

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魔王(伊坂幸太郎)

なんだか不思議な魅力を持つ小説でした。伊坂さんの本はどれも不思議なことが多いけど、この本も例外ではありません。前半の「魔王」と後半の「呼吸」、話は続いているけどテイストの違う作品でした。

しかし、前半のあの能力(思ったことを相手に言わせてしまう能力)は結局なんだったんだろう??後半の確率10分の1以下なら確実に当てる能力と言うのは何だったんだろう??って疑問が残る中途半端な作品のようにも思えますが、これはきっと、本文中の犬養首相が国民に向かって言う「よく考えろ、そして選択しろ」って言っているような突き放し方なのかもしれません。

よく分からないままの小説として消化不良である面と、新鮮な魅力を感じさせる面と、両方の性格がある小説ですが、そんな感触がかえって楽しいです。

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イン・ザ・プール(奥田英朗)

すでに三作目の「町長選挙」で、精神科医博士の伊良部の存在を先に知っていて、改めてデビュー作となる「インザプール」を手にしました。かなり変わった精神科医博士の伊良部の元を訪れる「まともな精神病患者たち」。この患者たちに伊良部はふざけているのか本気なのか、とにかくめちゃくちゃな治療を施します。それが意外にも、患者たちの症状が快方に向かうから不思議です。

その度合いから、いいますと、三作目の遠慮深さより、このデビュー作のほうが鮮烈のような気がします。こうなると直木賞の2作目を見ておきたい気もします。

ただ、この伊良部のハチャメチャと言うのは、患者たちが持っている何かの「縛り」がないスタイルであり、その解放性が患者をリラックスさせるのかもしれません。時々見せる伊良部の本質を付いた言葉が天性の才能ともいえます。

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