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出口のない海(シネマ2)

Deguchi市川海老蔵さん主演と言うことで、結構話題になっているのかな?
太平洋戦争時、「回天」特別攻撃隊で出撃した若者の姿を描いた映画。原作は横山秀夫の同名小説。監督は佐々部清です。個人的には「半落ち」のコンビだから期待も大きい作品です。

そんな気持ちで、日曜日の最終回に行ってきました。夜と言う事もあって観客は10名ほどの寂しさでしたが、館内は暑くって、まるで潜水艦の中にいるような感じでした。臨場感たっぷり(笑)

「回天」とは、太平洋戦争中、敗色濃い戦況を打開しようと、日本海軍によって開発された特攻兵器「人間魚雷」の名前です。この魚雷は脱出装置もなく前進しかできません。神風特攻隊の「海」版みたいなものです。昔の人はよくこういうものを開発したものですね。狂っているとしか思えないけど、それが戦争なんでしょう。多くの人が悲しむようなことを「国のため」と言って命を捨てると言うのは、しかしながら日本独特の考えでもあったのでしょう。その見境のなさが敗戦に向かったと言う大きな負債を抱えることになります。

ここからネタバレです。


さて、原作でも主人公の並木は少しクールなところがありましたが、市川海老蔵さんが行ったので、余計に際立った感じです。個人的にはそれはそれでいいのですが、かなりデリケートな内面があったと思うのです。その点が、観客によく分かるような内容になっていたのかどうか、そのあたりが少し足りない作品でした。

映画では、最初から攻撃中の場面になり、そこから過去を回想するような感じで描かれています。しかし、これでは、どうして死んで国を守るのか?自分が死ぬと本当に家族を守れるのか、その葛藤が描かれていません。と言うか、そこが分かりにくくなっています。

原作で強く感動した部分は「自分が死んでどうして愛する人を守れるか?」「自分が特攻すれば必ず守れるという約束できるのか?」逆に「死んでしまったら守ろうと思っても守れないのではないか?」って言うような疑問から、軍隊における「死んで行く夢をもって生きる」ことの困難さが描かれているところなんです。

普通は何も問題意識もなく、当時の時代の流れから熱い気持ちだけで、「お国のために」「天皇陛下万歳」と言って、命を捧げるのが無条件に美徳のようでもあり潔くもあったわけです。しかし、ここに出てくる人は、大学にも行っている学生で、当時としてはかなりインテリで、日本の状況も冷静に判断できたと思います。その一方で、若い志もあったのです。そこに、命が惜しいわけではなく、自分が命を賭けるものは何かと言う意識が深くあったわけです。敗色を知っているが上に「この命を掛けて国や愛する人を守れると言う約束は出来ているのだろうか」と自問自答したところにクールさが残るのだと思います。

その困難さを乗り越えて回天に乗り込む決心をする、、その葛藤と克服した気持ちが重要と思うのですが、そこが感じられないので、何で事故で死んじゃったの!って印象が残るような作品になっています。本当はそうじゃないのに(事故で命を落とすのが一番彼らしいけじめの付け方だったかもしれないのに・・・)。

潜水艦の緊迫感、「回天」内部でのパニックの雰囲気、一緒に特攻できずに自分を悔やむ姿など、いいところも多いのですが、少し観客を置いてきぼりにする映画です。ああ、もしかしたら原作を知らないまま見たほうがよかったかも。

あと、今風の映画だからしょうがないけど、学徒出陣の映像を見ても分かるように、当時の学生は目が悪い人が多く、めがねが多いです。しかし、ここに出てくる学生は誰もメガネをかけていなかった感じです。その確率はかなり低いと思うけど(^^;、垢抜けした学生さんが多かったです(^^)

★★★☆

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