« ネバーランド(恩田陸) | トップページ | ビジネス本を少々 »

長い腕(川崎草志)

横溝正史と言えば、私も1970年代によく読んだものですが、当時はおどろおどろしたものがよかったのかもしれないけど(それとも単純に謎解きに興味を持ったのか、はたまた角川作戦にはまったのか)、最近はそうした作品から距離を置いていました。最近は舞台設定を戦後あたりにでもしない限り、現在を描いてなかなか土俗的な脈々と続く怨念みたいなものを出すのは難しいのだろうと感じています。

 
この作品はその横溝正史ミステリー賞の21回目(2001年)の大賞でした。主人公はテレビゲームのクリエイターと言う、また現代的な職業ですが、そのゲーム製作会社で同僚がビルから転落死する瞬間を目撃します。衝撃を受ける彼女に、故郷の中学で女学生が同級生を猟銃で射殺するという事件が起き、その同僚と女学生が同一のキャラクターグッズを身に着けていたことから、故郷である早瀬に戻りに事件の調査を始めるのです。その故郷と言うのが閉じた社会で、この部分はまさに横溝正史の賞を取るにふさわしい設定です。

とは言え、パソコン・インターネット・携帯と現代の機器も重要な役割で活躍します。その手はなかなかうまい設定です。話も面白くどんどん読ませてくれました。

過去の話や、最初の2つの事件(電車の中で殺人事件と松山空港でのパニック事件)が、少し本篇から隔離されてしまっている感がありました。何よりも探偵のまねごとをするきっかけになった、同僚の飛び降り事件、、、その話もなんだか中途半端な感じもしました。しかし、それでも、この作品はなんか魅力的でした。
この作者はこの作品しか書いていないみたいですけど、次作にも期待です。

★★★★★

|

« ネバーランド(恩田陸) | トップページ | ビジネス本を少々 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/51937/15857517

この記事へのトラックバック一覧です: 長い腕(川崎草志):

« ネバーランド(恩田陸) | トップページ | ビジネス本を少々 »