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いつか、虹の向こうへ(伊岡瞬)

昔、横溝正史の本をたくさん読んでいたのに、横溝正史ミステリ大賞の本は全然手にしていませんでした。先日、川崎草志の「長い腕」を読んで、なかなかいいかもと思い、2005年の第25回横溝正史ミステリ大賞&テレビ東京賞W受賞作である本作を手にしたわけです。

現在の世界で、横溝正史のような世界感を再現するのは難しいことでしょうけど、もともとこの賞自体、それほど世界観に固守していないのかもしれません。でも、何も知らずに読み始めて、この本がハードボイルドなのには驚きました。横溝正史とハードボイルドは、ずいぶん似合わない組み合わせですが、それでも、なかなかうまい作品でした。だからこそ大賞として選ばれたのでしょう。

でも、あまりハードボイルドが好きじゃない(一時期すごく好きで、ブロンジーニの作品を読んでいましたが、今はもうちょと国内外を問わずあまり読まなくなりました)ので、手放しでよかったとは言えない面があります。それに、ハードボイルドのお手本のような小道具と背景(この作品にも元刑事、酒、たばこ、暴力団、薬など)もちょっと・・・って引いちゃうような点があります(^^;

以下、少々ネタばれですので、これからの方はここまでで。

 
それでも、そんな好き嫌いは抜きにしても読ませるあたりに、この作者の力量があるのかもしれませんが、謎的には少しこじんまりしているのと、それを隠していたっていうのは賛否両論分かれるところ。私自身は、一人称語り口で主人公が知っていることを読者に隠すこと自体は、嫌いじゃないけど、そこまでやるのなら周到な伏線があって、気持ちよくだまされたいです。決して、この作品がアンフェアってわけじゃなくって、それらしい伏線はあって、それらの小道具も唐突じゃなくって、別の話に絡まって大変考えられているとは思うけど(私はピアノの教本であるバイエルが確かに気にかかってはいたけど)、それでも「技あり一本」と言うよりは、「有効」くらいな技のキレの印象でした。その上、結末が、少々一本調子の印象がしました(それも有効になっちゃう原因かな)。タイトルの「いつか、虹の向こうへ」と言う希望がなにも感動しない言葉になっている点が残念です。

★★★★

PS
世界観を再現と言うので思い出しましたが、横溝正史の世界もその時代背景があってのこと。それゆえに現代によみがえらせるのはなかなか難しいかなと、、、そこへあの黒澤監督の「天国と地獄」が9月8日に現代版になってテレビドラマに。これはすごく興味があります(出張で見れないか?)。あの時代だからこその映像だっただけど、携帯もあるような現在の社会でどんな映像になるのか楽しみ。昔の「天国と地獄」を今見直すと、病院の待合室で多くの人がたばこを吸っているのにすごい違和感が・・(笑)。それも古き良き時代?

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