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フードバンクという挑戦 貧困と飽食のあいだで(大原悦子)

Fb「ローマの平日イタリアの休日」で何とも魅力的なローマの生活を書かれた大原悦子さんの新作と言うことで楽しみに読みました。と言っても今回は、内容も主題も、がらりと変わって「フードバンク」について。訳すると「食料銀行」(当たり前(^^;))でしょうか。私自身もこの言葉に馴染みがなかったのです(アマゾンで調べても楽天で調べても、この本以外には紹介している本はないようです)が、この「フードバンク」は、「もったいない」を「ありがとう」に変えると言う考えのもとに、品質に問題なくても流通のシステムや製造の過程で廃棄されるような食品を、今、食べるものに困っている人に分け与えようと言う考えのもとに活動されている団体です。

・・と言うと私も、「日本は飽食だから、捨てる食料があるのならアフリカの難民に配ったらいいのに」って言う感じで、読みだしてみると、ここで取り上げているのはそうした国際的な救援ではなく、日本の中にも食料を手に入れられない人がいると言うことと、そう言う人に食料を配っているボランティアがいることを紹介されていてその事実に驚きました。考えてみれば、国家の体制や政治的・経済的に未熟であるために社会システムとして貧困を生んでしまうアフリカの国が国際的に目立つは当然として、むしろ日本のように国としては経済的に発展して、貧困が全体として目立たなくなっているところに存在する貧困こそが救われていないのかもしれません。

救援と自立支援の問題など、私の頭の中にあったさまざまの問題にも言及されていますが、作者・大原さんのその目線は「ローマの平日イタリアの休日」同様にやさしい感じで、問題は問題として受け入れて、それでも活動のコンセプトを大切にしている感じが、読んでいて心地よい感じでした(このての本に心地よいと言うのは変ですが)

 
この本が発売されるちょっと前の7月14日、自社サイトの日記に下記のようなことを書きました。そのあとに、アマゾンからの新刊案内でこの本をタイミングよく知ったわけです。

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【 食糧事情 】

世界一受けたい授業で、世界で死んでいく人たちの死因の1位は、癌でも交通事故でもなく、「飢え」というから驚きです。世界で6人に1人は栄養失調で、しかも1日に25000人の人が飢えや栄養失調で死んでいるそうです。教えもらうと驚きです。日本は裕福すぎるかも。

噂では世界の穀物は足りているけど、一部の国が豊富な食料を取得して、飢餓に苦しむ国ができるとのことです。なかなか均等にと言うのは難しいでしょうけど、裕福な国がそれを意識しないでいることは問題です。問題意識を持って、頂くと言うことに本当に感謝しないといけないですね。

以前から問題になっていた数字も出ていました。世界の食糧支援は年間700万トンに対して、日本では2000万トンの食べ物が捨てられているのです。しかし、今は賞味期限や使い回しなど、違反に厳しくなり、もったいないという言葉との板挟みになっているのも事実でしょう。使いまわしや賞味期限違反はいけないけど、その情報を交換して納得する人は使うという貢献はできないでしょうかねえ?

個人的には、また食べられるのに賞味期限が過ぎたからと廃棄されるなら(消費期限過ぎたものは害がある場合があるのでだめですが)それを納得したうえで使う人に配布しちゃいけないのかな?もうひとつは、商品をサービスだからと言って過剰に生産しないことでしょうでしょう。売り切れるくらいがちょうどいいくらいに思う方が世界にやさしい生産方法かも。
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(日記ではこう書いていますが、フードバンクでは賞味期限を過ぎたものは安全と分かっても受け取りはしないようにルール化されています。そこには作り手と使い手の直接の取引関係ではないための制限でもあるのでしょう)

最近の食品偽装の問題の中で、安心安全の旗印の下にすべてを同じようにとらえているような感じがしますが、私自身は3つの問題ととらえています。
(1)産地偽装
これは、中国産うなぎを国産うなぎと表示して売ったり、牛の産地やブランドを偽装するものです。これは目先の売り上げのためにお客様をだます悪質なもので、このような企業は市場から抹殺されて当然でしょう。
(2)禁止薬物混入
うなぎやギョーザで起きた事件で、国の違いがあるとは日本で食べるものは日本のルールとして満たされているべきと思います。こうしたこともより検査を強化して市場からなくすべきでしょう。
(3)賞味期限の書き換え
この書き換え自体は問題ですし、何よりも信用したお客様を裏切る行為となります。食中毒などの被害がなくてもその姿勢を社会的に厳しく問われています。この感覚がまひして、お客の食べ残しを使い回しするという事態にまでなると、今度は衛生上の問題も大きくなってきます。

中には、賞味期限が過ぎたものでもまだ大丈夫とご家庭で使われる方がいるでしょう。そこにある気持ちは、たぶん「もったいない」と言う気持ちでしょう。賞味期限の書き換えにおいても、企業側も最初は「もったいない」と言う気持ちがあったとしたら、賞味期限改ざんという裏切り行為をしなくても「もったいない」という気持ちを生かすシステムが必要だと思うのです。それが無駄に廃棄されてしまう商品を減らす一番の方策でしょう。

賞味期限が近くなって販売できなくなった商品や、外箱が痛んだだけで受け取り拒否(これで返品は環境にやさしくないと思うけど)などされた商品が、喜ばれるところで使われるのは、食の作り手としては、大変うれしことです。(工業化されていなくて、夏の暑いときには汗をかきながら食品作りをしている作り手と言うのは不思議なもので、たくさん買っていただける方にも感謝しますが、実は量よりも「おいしい」「ありがとう」が一番うれしかったりします。そんな心意気があるものです。)この本の中でもアメリカのフードバンクの紹介の中で「お金と言う収入は減ったけど、サンキューと言う収入が増えた」とあります。その気持ちが活動を支えているのでしょう。

日本にはもともと、食べられないほどの野菜などをもらうと近所に配るような「おすそ分け」と言う習慣もあります。そのように無駄なく使うと言うのは重要なことと感じています。なにより自給率不足の日本で、これだけの食べ物が廃棄されていること自体、いつか罰が当たると心配なのは私だけでしょうか?でも、この活動を読むと、ひとりひとりの小さな積み重ねでいい意味での食の循環が出来るかもしれませんね。

ちなみに、この本の表紙はちょっと面白いです。このブログの画像では「トマトスープ」がゴミ箱に入ろうとしています(もったいない!)が、この帯を取ってみると・・・その結果のお楽しみは本屋さんでどうぞ(^^)

今日はいつになく長い感想になったなあ(^^;

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