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むかしのはなし(三浦しをん)

読み進めるほど味が出るような素晴らしい構成の連作短編小説でした。当初は、単に本当の昔話(それぞれの作品のまえに「桃太郎」や「浦島太郎」「かぐや姫」など)が紹介されていて、その作品から生まれた作品が生まれているという形を取っているだけかと思いました。もちろん、それでもよくあるパロディではなく新しい昔話なんですが、それが読み進めるにつれて、この短編が微妙に関係しているような雰囲気になってきて、4作目の「入江は緑」ではっきりします。

それが「三カ月後に隕石が地球にぶつかり地球は滅亡すると言うこと」ということです。しかし、不思議な雰囲気を持つモモちゃんは(多田便利軒の行天を思い出させる)「死ぬことは生まれたときから決まっていたことじゃないか」と達観しています。確かに、生まれた以上は死ぬことが決まっているのに、三カ月後の隕石衝突で、人間はやけになってしまうのか?

そこには、「地球を滅亡させるのは隕石ではなくて、隕石を恐怖する人間の想像力だ」と言う言葉に妙に納得できるものがあるのです。

この連作小説はどれも「誰か」に向けられて語る形式で書かれています。語ると言うことで昔話の形式を取られているのも事実ですが、そこにも伏線があり、最後に物語では、改めて、この連作小説が「むかしのはなし」と言うタイトルであることを示しているようでもありました。

収録作品
「ラブレス」
「ロケットの思い出」
「ディスタンス」
「入江は緑」
「たどりつくまで」
「花」
「懐かしき川べりの街の物語せよ」

★★★★★☆

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