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小さいおうち(中島京子)

先日読んだ「月と蟹」が144回の直木賞なら、この作品は143回直木賞。戦前戦中の東京の中流家庭で女中をすることになったタキさんが、晩年、当時を思い出してノートに記すと言うスタイルを取っている作品。

女中が垣間見る上流家庭となるとどうしても「家政婦は見た」になっちゃうのだけど、そこは上品にうまく「家政婦は見た」にならないように書かれています。どちらかと言うとこの女中のタキが心底この家をそして仕えた奥様を好きだっただからでしょう。

また大きな要因として、戦前から戦中と言う時代背景も影響しているのかもしれません。昭和初期の銀座などを舞台にした北村薫さんのベッキーさんシリーズのように、この当時の雰囲気を知るのは楽しいものです。

最終章は、思っていなかった展開でしたが(鈍いので(笑))、ここで甥の次男・健史が活躍するのであれば、この人物をもう少し事前に登場させて欲しかったかな。単に大叔母タキのノートを盗み読む人物くらいにしか描かれてなかったので。最終章で福井!!にまで出かけてタキの書きたかったことを調べると言う点で、もっと感情移入したかったものです。

とはいえ、よく出来た作品で、この戦前のモダンな生活と言うものに好感を持つ私としては(生まれていないけど、銀座には資生堂も千疋屋もある)楽しめた1冊となりました。ベッキーさんシリーズの方が登場人物は好きですけど(^^;

★★★★★

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