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企業文化(エド・H.シャイン(著),金井寿宏(翻訳),尾川丈一(翻訳),片山佳代子(翻訳))

最近、面白そうな映画がないので、GW中は1本も見ないまま終わってしまった。少し体力増進のために行きたかったのに。その代わりと言っては何ですが、県立美術館に行って来た。これが近年まれにみるなかなか見ごたえある充実した展示で、本来なら2時間くらいかけたいところ(でも、1時間でギブアップ(笑))。・・と話がずれましたが、カルチャーです。カルチャーはカルチャーでも「Corporate Culture」です。

大震災と個人的な出来事から、いろいろ思うこともあり、商売と言う世界を通じて、実はこうした企業文化を大切にしようと言う価値観が生まれないだろうか、そんなことを思ったので手にした一冊。200ページ足らずの薄い本だけど、大学で使う本みたいな雰囲気の本で、価格も2940円とかなり高い(^^;ちなみに薄さの割には内容は濃い。

企業文化と言えば思い浮かぶのは、「社風」と言う言葉だったり、またはそのもととなる行動指針を書いたもの(「経営理念」や「クレド」や「ビジョン」と言う名のもとに明文化したもの)だったりするが、この本では企業文化と言うのは、そう言う単純なものではないと説いている。

企業文化には3つのレベルがあり、
(1)まず、表面的に見えるもの(社風と言うもので、新人さんが企業訪問して感じるもの、たとえば、オープンな感じとか、個人主義であるとか)が目につくために、それを企業文化と思いがちだけど、
(2)その表面的に見える雰囲気を作り出すにいたった正当な理由(戦略であったり、目標や哲学あるもの)がもう一つのレベルであるとの事。
(3)さらに、レベル3(原発事故みたい(笑))の企業文化は、その会社が市場に合う商品やサービスを作り続けることで、そこに生まれる信念や価値観が共有され当たり前のことになり、もはや意識からも落ちている文化。これは暗黙のうちに、さまざまな決定に作用するとのこと。

日本でも、キリンとサントリーの経営統合の話があった。この統合決裂には、創業家が実権を握る非上場会社のサントリーと、旧三菱財閥の流れを汲むキリンでは企業文化が異なっていった、と言われていた。統合の場合は、企業文化が2つ残る場合と、融合する場合と、どちらかが吸収してしまうパターンがあるらしい。この場合、自社の企業文化を死守したら統合に行かなかったということだろう。

と大企業の問題は私には興味ないが、「後継者と言う問題への対処」は気になるところ。思えば私も今の会社に入ったばかりのころは、何かと新しいことを取り入れようとした。しかし、それは単にシステムの変更だけに注目したことで、会社になんとなく存在する暗黙の企業文化と言うものを無視したものであった(若気の至り?)

まず、自社にある企業文化を洗い出し、その文化を学習破棄(学習破棄とは不愉快で不安が生じやすいのでたやすくは出来ない)した上で、再学習するのが正しいやり方であろう。そして、学習破棄し再学習することによる変容は、今の時代必ず必要なっているのであろう。

誤解しやすいのは、行動として変更は上司の命令で可能かもしれない。表面的なシステム変更が先にあった場合は、潜在的な文化が変わらないことで、価値観の共有などに大きな差が出てきてしまう。したがって、先に企業文化の学習廃棄が重要なのかもしれない。

と、なかなか難しい本だったので、また勝手に解釈して読んだけど(ちなみに難しけど分かりやすさと実践方法がこの本の特徴)、一度、レクチャーを受けたいような内容であった。まずは、今年1年のテーマとして自社の企業文化を学習するところから取り組んでみようかと考えるきっかけになった一冊だった。

先だって「ストーリーとしての競争戦略」のまえがきが13ページあったと書いたけど(本文は500ページあった)、この本は本文は200ページ弱だけど監修者解説が28ページもある。なかなかそれ自体が読み応えがある。

★★★★★○

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