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2019年6月の記事

オランダ公共図書館の挑戦(吉田右子)

北欧図書館シリーズ第4弾、北欧とは違うけど近いオランダ。今まで読んだ「デンマーク」「ノルウェー」「スウェーデン」といずれも行ったことがない国でしたが、唯一行ったことのあるオランダ。でも、コンセルトヘボウには行きましたが、図書館には行っていないです(1987年1月の事)。
 
この本の最大のテーマはオランダの図書館は「なぜサービスを有料にするのか?」だろう。日本だけでなく「図書館奉仕」の理念により「無料」「公開性」「自治体による直接運営」というのが基本となっていたが、理念から得られるサービスを模索するのではなく、本来あるべきサービスからどこをどのように提供できるかというアプローチも必要なんだろうと考えさせられた。
 
「サービス有料」と言うと戸惑いや驚きを隠せないけど、公共でも美術館や博物館は有料のところが多い(そんなものだと疑問も持っていないけどね(笑))。オランダの図書館は、全部有料ではなく、無料と有料の線引きをしている。無料ありきで時代に合わせてどんどんサービスの枠を広げるのではなく、公共性から最低限の
・館内での資料閲覧
・公共空間としての図書館での滞在
・司書からの専門的なアドバイス
は、誰でも無料だし、子どもが本を借りるのも無料。一方で本を取り寄せたり通常の貸し出しは有料。公共性から見ても納得いくが、そこには、情報取得の平等という考えを阻害しないか、日本では議論が必要な気もする。
 
有料化のその収益でより充実したサービスを提供できるようになるという方向性は正しいと感じますが、この本にも記載あるように、有料化の収益が重要な予算の一部になり有料会員維持と増加が課題となるようでは本来の図書館の役割と離れてしまいます。しかし、こうした挑戦を行って、いろんな課題を見つけていくというのは、保守的手法で衰退していくよりは楽しそうです(^^

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名画の読み方(木村泰司)

名画をより深く観たり鑑賞するために、その名画を「読む」必要があると言う。時代背景や書かれているものの意味など、知ると数倍楽しくなりそうです。特に近代絵画以前の絵画鑑賞の見方がガラリと変ります。お勧めの1冊です。あとがきで「後期印象派以降の近代美術と現代美術に関しては、その基礎である古典芸術を把握したうえで、別のアプローチ」が必要と書かれていて、そちらもぜひ読んでみたいものです。

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夢見る帝国図書館(中島京子)

最近の図書館シリーズ、北欧シリーズから一歩外れて今度は帝国図書館物語。「図書館の歴史は常に資金源に泣かされた歴史」って言う語りがあるけど、なるほど明治の時代からずっとそうだったんだなあ。今度、「国際子ども図書館」に行って館内ツアーに参加したいと思います。
作品自体は、不思議な感覚の内容。なんか物語自体が夢か幻だったような印象を持ちます。読む前は帝国図書館を作った人たちの物語と思ったけど、最初のあたりはそんな雰囲気もあったのですが、後半になると文豪が通っていた図書館の立ち位置から、動物やら本自体が話をするようになり少々戸惑います。

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文化を育むノルウェーの図書館(マグヌスセン矢部 直美(著), 和気尚美(著), 吉田右子(著))

映画「ニューヨーク公立図書館」に触発されて読み始めた北欧図書館シリーズ第3弾。今回はあまり語られることがないノルウェーの図書館の紹介です。

大きな課題はノルウェーの人口が500万人ちょっとしかいない事です。出版するにも図書館を維持するにも、人口が少ないことはなにかと不利になりますね。出版においては発行部数が少ないために本が高価なものになります。その点から言うと図書館の役割は重要と言えます。

電子書籍への課題も。電子書籍貸し出しになれば、そもそも図書館は不要かという議論も紹介されていました。ただ、図書館が学ぶ「場」としての意義を見出すなら、物理的に存在しないといけないし、その上で、書籍だけでないコミュニティを通じた情報の取得や学習の機会と言う点ではネット情報とは一線を画すものがあると改めて考えさせられました。

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デンマークのにぎやかな公共図書館(吉田右子)

映画「ニューヨーク公立図書館」に触発されて読み始めた北欧図書館シリーズ(勝手に名付けた(笑))の第1弾。

「平等・共有・セルフヘルプを実現する場所」と副題がありますが、正直、読んでいてそれを感じることなく、最後のまとめで記載されているので意識した程度でした。

北欧と言うだけでなんとなく憧れてしまう感じをもちますが、図書館の目的、存在意義をはっきりさせて、その上で運営しているという点こそ学ぶべき点が多いのだろうと感じました。映画を見たあとだし、この本自体も10年前のものだと言う事から、図書館での取り組みに画期的なものは感じられなかったけど、戦略があって戦術があるべきところに、トップの戦略なくして戦術しかないような日本との違いをもっとエッジを効かせて話を聞かせて欲しかった感じです。ソフトな無難な報告的内容になっているのはもったいない感じもします。

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ある補佐役の生涯 豊臣秀長(堺屋太一)

豊臣秀吉の弟で、たぐいまれな補佐役だった豊臣秀長に光を当てた作品。分冊文庫もあるけど1冊版を買ったら760ページ以上で片手で持って読むのもしんどい(笑)、ポケットにも入らない(笑)。長くて重い本だったけど面白かった(^^
 
大河ドラマ「秀吉」の原作にもなっているだけに読んでいても登場人物が竹中直人だったり、高嶋政伸に見えてきます。
 
強力なリーダーや指導者に優秀な補佐役。軍師より参謀に近いと言えますが、この物語での秀長の立ち位置は参謀よりやはり補佐役が似合っている感じです。
 
じゃ、完全に補佐役かと言うと、むしろ最近のリーダーシップのひとつとして挙げられるようになった「サーバントリーダーシップ」(リーダーはまず相手に奉仕し、その後相手を導くものである)の素養があったと言えるでしょう。「支配的なリーダー」ではなく「支援的なリーダー」と言う事で、この男がいたから秀吉は天下を取れたと言うテーマに則った作品です。
 
とは言え、この時代のことですから織田信長の天才ぶりにもことあるごとに触れています。ある意味、もっとも支配的なリーダーの見本のような織田信長と、その家臣(秀吉)の家臣である支援型リーダーの典型である秀長を対比させることで、より秀長のサーバントリーダーぶりが際立っている演出かもしれません。
 
大河ドラマ「秀吉」をまた見てみたくなる1冊。

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